そもそもCALSとは何なのでしょうか?元を辿れば米国国防総省に設置された「CALS政策課」というプロジェクト担当組織の名称でした。

兵器に関する膨大な技術情報や運用マニュアルを作成/管理/共有するのは不可能に近い状態でした。これをコンピューターネットワークシステムによる情報管理を試みた事から始まりました。

このように、CALSというのは当初特定のシステム又はプロジェクトの呼称でしたが、現在では「電子メディアによる取引」全般を意味するようになってきました。

では、建設業界の「建設CALS」とは何なのでしょうか?

それは公共事業において、計画・設計・入札・施工・管理を電子データにて運用管理を行なう事を指しています。

早い話が、今までの業務上で発生するあらゆる業務サイクルを電子化し、業務の効率化・情報の共有・経費の削減・品質の向上等を目的としたものです。

発注官庁は既にこの計画を実行し、1996年から建設省全機関において電子データの受発信体制の構築を始めとし、段階を経て2010年にはすべての公共事業のCALS/EC及びIT化を完了すると発表しています。
今までの入札は、落札者しか情報を知る事が出来ませんでしたが、今日では電子入札・情報の公開がされており、今後このような電子入札方式でないと、入札に参加出来ない状態になってきます。

「雲の上の話で私たちには関係ない」と思ってはいませんか?果たしてそうでしょうか?

公共事業の発注件数の九割、発注金額の七割が地方自治体の発注であり、建設省発注シェアは極端に少ないのですが、建設省は地方自治体に対してCALSを働きかけ、地方自治体もまたCALS導入を積極化しはじめています。

一部業務(写真管理、電子ファイリング等)においては、地方自治体が完全に追い抜いているところもあります。

ひとたび始まれば、急速に広まるのは目に見えています。

先に述べた通り、業務の効率化・情報の共有・経費の削減・品質の向上等があげられます。

具体的には、電子メールやサーバーを利用して図面や資料をやりとりする事により業務の効率化・情報の共有が図れますし、そうする事より無駄な出力やコピーが不用になりますので、経費の削減にも繋がります。

現場写真に於いてデジタル化をする事により、約62%の経費を削減出来た例も報告されています。また電子データで保存する事により情報の劣化を防ぐとともに省スペース、検索等が容易に出来るようになります。

また、より良いサービスをより安く、より早くする事により差別化が図れ、この不況下の勝ち組として生き残っていけるでしょう。

では、実際に何をすればいいのでしょうか?難しく考える必要は全くありません。

今あなたはこの文章をインターネットで見ています。これもCALSの第一歩ですし、CADやワープロソフト、表計算ソフトを使って製図や報告書・計算書を作成していますね。

これであなたは半分CALSを遂行しているのです。

ここで問題になってくるのは「情報の共有」と言う事です。実際にコンピュータとネットワークを利用して、様々なデータをデジタル化し、みんなで共有していくには、どんなコンピュータでも、どんなソフトウェアでも共通で何度も再利用出来るようなデータ形式が必要になってきます。そのため、CALSでは標準化という目的でISOで定められた基準を採用します。

ただ、厳密には受発注間での協議が前提になります。

文書データ→XML

図面データ→DXF(又は官庁使用CAD形式)

画像データ→JPEG

動画データ→MPEG

また、それぞれのデータに関する基準(作図方法や名前の付け方、保存方法)が定められています。

各種基準の適用とその入手方法

官庁営繕の技術基準

電子媒体による写真管理項目及び記録方法について

データ形式を見ても解るように、現時点で活用している事を基準に則ってすればいいことがわかると思います。

一度に沢山の事を要求されても、なかなか実行に移す事は難しいでしょう。まず自分の出来る事から初めてみましょう。

これを読んでいる皆さんはおそらく、建築や設計のプロの方でしょう。

官庁営繕の技術基準の「建築CAD図面作成要領(案)」の基準や「建築設備CAD図面作成要領(案)」の基準を今後の図面作成に取り入れてみてはどうでしょうか?

また、これらは当然現場担当者の方にも必要不可欠になってきます。

今のうちに馴れておく事が大切だと思います。

現場事務所においても、業務の効率化・情報の共有・経費の削減・品質の向上等の観点から、CADの導入だけではなく、インターネット環境の整備・導入、OA操作技術の向上・スキルアップなどが要求されてきます。

早いうちから検討・実施してみても決して損をすることはないと思います。